第30回総会第2部、河村健夫弁護士による講演~

 休憩をはさんだ後、第2部として狭山弁護団の河村健夫弁護士から「第4次再審請求に向けて、および『復刻版裁判』~差別されない権利の意義」をテーマにした講演を受けました。

 今後について河村弁護士は、「石川早智子さんが『再審手続きを引き継ぐ』意向であり、第4次の再審請求を申し立てることになる」と述べました。

 さらに「弁護団としては、第4次再審請求で、また1からやり直しでは困る。第3次で積み上げてきた万年筆鑑定を含む新証拠を引き継げるようにすることが理想であり、担当裁判官も家令裁判長に担当してもらいたい」と説明しました。

 次に「復刻版 全国部落調査出版差し止め事件」についての解説では、裁判の経過と闘いの概要、高裁判決の意義を、とても分かりやすく解説しました。

 「復刻版 全国部落調査出版事件」は、戦前の「全国部落調査」のデータを復刻して出版し、部落差別を助長しようとしたもので、出版が差し止められると、インターネット上に情報をばらまくという暴挙を行った事件です。

 原告は、出版の差し止め、インターネット上の情報バラマキの禁止、2次利用の禁止と損害賠償を求めて東京地裁に提訴しました。東京地裁は出版差し止めと2次利用の禁止のいずれも認めたものの、差し止めは「25都府県」に限定し、損害賠償請求も一部を認めるにとどまったため、原告・被告双方が控訴しました。高裁判決は、差し止めの範囲を31都府県に拡大し、損害賠償を若干の増額となりました。河村弁護士は、高裁判決で何よりも画期的だったことは「差別されない権利」を認めたことだと解説しました。地裁判決では原告が主張した「プライバシー権」「名誉権侵害」を認め、「差別されない権利の侵害」は認めませんでした。

 しかし、控訴審判決は部落差別の実情について大幅に認め、さらに部落差別の被害が甚大であることも明確に認めました。河村弁護士は「『差別されない権利』について、憲法13条と14条を根拠に、正面から認めたことが、画期的であり今後の部落差別反対の闘いに重要である。権利は闘って勝ち取るものである」と述べました。最高裁では、憲法がないがしろにされている判決ばかりですが、人権についてこのように憲法を根拠に抗した判決が下されたことは、司法に対し少しは期待が持てると思えた講演になりました。